The Stone Age 第3回公演「ファウル!ファウル!!ファウル!!!」
1999年9月
18日15:30/19:30

19日13:30/17:00

シアトリカル應典院

前売1800円/当日2000円
高校生以下1000円(要学生証)


舞台は球場の外野席。
ホ―ムランボールを待ちつづける男の話。

シアトリカル應典院提携作品

登場人物
緒方晋(as坂田)「ムズカシーなー!シンドイなぁー ・でもやめられそう にないです。」

坂本顕(as藤村) 「おいっ、ナべツネ!松井、高橋、上原出したれよ!」

中井正樹(as北)「おかげ様で水虫、治りました。」

有田誠(as真田) 「時は速く動いた。」

斎藤幸枝(as水原)「団結踊りって、胃下垂になるよぉー。」

岡田美子【遊気舎】(as犬飼)「ダンスがんばりました。オシマイ。」

CAST STAFF
緒方晋
坂本顕
中井正樹
有田誠
斉藤幸枝

【GUEST】
岡田美子(遊気舎)
■脚本・演出 鮒田直也
■演出助手 福谷洋
■舞台監督 水野秦彰(劇団☆新幹線)
■照明 三栖春奈
■音響 坂本孝二(Plug−in)
■舞台美術 柴田隆弘(南船北馬一団)
■宣伝美術 森★直子
■衣装 沖野美加
■制作 斉藤幸枝
■Special Thanks 大阪シナリオ学校
オフィス・ユウ
鳥プロ
THE BAG magazine
劇団クレセントフェイス
明成孝橋美術
A&Tアクターズシアター
平成ロマンティカ
喫茶ABC
Studio−S
大浦奈美
柳澤尚樹(M.C.S)
吉田一
岩谷美沙香
應典院

その他たくさんの皆様

―1999.秋 The Stone Age 鮒田直也―
野球好きの父親の影響を受けて、僕は野球少年になった。今はどうかは知らないけれど、かつて少年の夢は十中八九、野球選手になることだった。父親に連れられて初めて、野球場に行った日、僕は内野席に座った。
だけど、僕はこんなこと言ったら父親に怒られそうだったので言えなかったけれど、外野席に行きたかった。プロの選手は、遠い遠いこんなところまでボールを飛ばすのか、“凄いなぁ”ってかんどうしたかったのだ。あと一つ理由があった。
ホームランボールが飛んでくるかもしれないと思っていたからだ。自分のところに飛んでくるかもしれないと思っていたからだ。
今回は外野席が舞台です。ホールランボールを待ちつづける男のお話です。
季節は真夏です。プロ野球ではなく、高校野球の試合です。

青春の夢の行方を追って・・・   【藤木 雅】(フリーライター)
『ファウル!ファウル!!ファウル!!!』(The Stone Age公演)
夏の高校野球の地区予選、という題材が面白い。ベンチでもネット裏でもなく、のどかな外野席の芝生を舞台にした着眼もいい。開演前の應典院 ホールに足を踏み入れた時、我々観客は舞台の左右いっぱいの金網を見る。真ン中に突っ立っているのは、一本の長大な柱。野球場の外野ポールなのだ、と見当はつく。ホームランとファウル・ボールとの運命を分かつ柱は何やら、この世の非情さ・皮肉さの象徴、とも見える。開演―――。男性4人・女性2人、それぞれに過去や現在をかかえ持った、ワケアリの登場人物たちが順次、舞台に出揃う。野球見物の観客たちと芝居見物の我々観客とが、金網をはさんで向かい合う形になる。演出のそんな趣向も、心憎い。登場人物たちは、出場高校の卒業生や教師などである。ガラガラの外野席。彼ら彼女らは、珍妙コッケイな言動を繰り広げながら、グラウンドでのゲームにも、それなりに注目している。マウンドやホームベースは、けれどあまりにも遠い。したがって彼らの視線はしばしば、我々観客の背後のずっと遠い所を見つめる。となると、我々観客は、グラウンド内の左翼手(レフト)の守備位置あたりに座っているかのような気がしてくる。かくて舞台空間は、野球スタジアムひとつを見事に現出させてしまう。
ここが小劇場ならではの楽しさ。大きなステージの公演では、こうしたイマジネーションの飛躍は味わいがたい。フライが高々と打ち上げられる。役者たちが見上げる。白球は、しかし、なかなか落ちてこない。いや、いつまでも落ちてこない。この時、小さな舞台空間は、垂直方向にも無限の広がりを得る。ホームランか、それともファウルか? ≪ファウル≫・・・・。タイトルに三連打されているこの言葉には、ヒットやホームランになり損ねた(人生上の)不運なしくじり、とでもいったニガイ意味あいも、こめられているに違いない。
 演劇集団『ストーンエイジ』の舞台の基本的モチーフとは、ではないか?
プロ野球選手へのあこがれ、遠い高校生の日の恋愛・・・・・・そうした≪心の奥底に秘めた青春時代の夢。≫といってもいいだろう。 ≪夢≫を捨てきれない、いや、今もなお捨て去ろうとしない、青春末期(?)の生活者たちのひそかな熱い真情――。
『ストーンエイジ』の舞台は、その全身『ソルト・メイカーズ』以来、繰り返し繰り返しそれを表現する。それは彼らが社会人になってから初めて演劇活動をはじめた人たちの集まりであるという事と深くつながってもいるだろう。
 これまでの『ストーンエイジ』の演技のトーンは、まじめさがやや目立ちすぎるような印象も、時にあったけれど、今回の舞台、緒方晋、坂本顕、中井正樹といったメンバー全員、雨上がりの夏空の下の芝生で楽しんで演じている雰囲気がとてもよく伝わった。
改作、再演をめざしている、とのこと。楽しみにしていたい。

*Passion(大阪シナリオ学校ネットワーク紙 Vol.44 1999.11.11)より抜粋