「トリギン」
文：笑福亭銀瓶
　
▲法善寺横丁・水掛不動にて
　今から十五年前の一九九四年三月八日、噺家になって六年、まだまだ駆け出しの僕が大胆にも初めて独演会をしたのが、ミナミのトリイホール。
両親はもちろんのこと、祖母、祖母の兄弟姉妹たちが大挙、神戸から駆けつけてくれ、客席の一部を独占した。中入りでは、親戚の誰かが、持参した多数のリポビタンＤを全く関係のないお客様にまで配り、後半に備えていた。
『崇徳院』『米揚げ笊』『軽業』の三席を演じたが、当時の持ちネタは全部で六つぐらいだったのでは。「若いからこその思い切りの良さ」と言えば聞こえはいいが、いま振り返ると、「よくもまあ、やったものだ」と思う。

　でも、その「思い切りの良さ」が、年数を重ねるほどに逆に必要ではないかと感じるようになってきた。そんな気持ちから生まれたのが、トリイホールでの落語会『トリギン！』だ。毎回、先輩をゲストにお迎えしている。九月二十日（日）の夜の部では、笑福亭松喬師匠の胸を借りる。


僕が初めて出稽古（自分の師匠以外の方にお稽古をつけて頂くこと）に行ったのが、松喬師匠。一九九一年のことだった。当時の松喬師匠は、いまの僕と同年齢か少し下だったと思うが、すでに貫禄充分だった。
　「思い切りの良さ」を忘れず、あの頃のような新鮮な気持ちで高座に上がり続けたい。
トリギン！vol.04　〜笑福亭銀瓶　奮闘会〜

出演昼の部：笑福亭銀瓶／笑福亭遊喬／桂ちょうば
　　　夜の部：笑福亭銀瓶／桂ちょうば／
　　　〈ゲスト〉笑福亭松喬

日時：9月20日（日）
昼の部　開演２：００ＰＭ（受付・開場１：３０ＰＭ）
夜の部　開演６：００ＰＭ（受付・開場５：３０分）
料金：
昼の部：前売り・予約２０００円／当日２５００円
夜の部：前売り・予約２５００円／当日３０００円
昼夜セット４０００円（要予約）
チケット・問：ＴＯＲＩＩ　ＨＡＬＬ

＜番組＞
昼の部
　笑福亭銀瓶「はてなの茶碗」／他一席
　笑福亭遊喬「胴斬り」、桂ちょうば「ぜんざい公社」

夜の部
　笑福亭銀瓶「天災」／他一席
　桂ちょうば「月並丁稚」
　〈ゲスト〉笑福亭松喬「おたのしみ」
　＊松喬・銀瓶による対談ありトリギン！





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