「とんでもない女(ひと)」
文:小佐田定雄(落語作家)
 
▲上方ビル2階「徳家」にて


 春野恵子という人を説明するにあたり、まず最初に頭に浮かんだのは「とんでもない女(ひと)」というフレーズでした。
どう「とんでもない」かと申しますと...。

 まず、東京大学という最高学府を卒業しているはずなのに、とてつもない天然ボケであること。
テレビのバラエティ番組で「恵子先生」として人気者になっていたのに、その立場を振り捨てて自分のやりたい「芸」の世界に飛びこんで来たこと。

 数ある演芸の中で芸人、観客ともに高齢化していた浪曲の世界をチョイスしたこと。天然ボケだと思っていた彼女が、春野百合子という現代最高の名人をピンポイントで選んで入門を果たした時も驚きました。

 そして、入門するに当たって黒髪を切り落として丸坊主になった時も、「この女はタダモノではない」とびっくりしました。

 浪曲の世界に入ってからは、同じ若手の菊池まどかや先輩の幸いってん、三味線の一風亭初月、沢村さくらなどと組んで「新星浪曲☆新宣組」を結成。浪曲を知らない人たちに広くアピールしました。その活動は、東京の玉川奈々福、菊池まどかとともに結成した「浪曲乙女組」に広がり、東京、大阪で大きな話題となっています。

 春野恵子の魅力はなによりも舞台の華やかさ。そして、台詞の立派さ。例えば『お菊と播磨』での若き旗本・青山播磨の凛とした台詞などは、歌舞伎の舞台を見るような迫力があります。あとは、これに百合子師ゆずりの華麗な節が加われば、まさに鬼に金棒。ただ今、進化中の若手ですが、いずれは「とんでもない浪曲師」になることは間違いないと信じています。

 この文章を書いていて気がつきました。よくよく考えてみると、「とんでもない女」と思っていた春野恵子は、むちゃくちゃ「翔んでいる女」だったのです。



◆春野恵子さん出演情報


12月10日(水)
桂米團治プロデュース「上方で噺家の映画を観る会」
9日  出演:笑福亭鶴志/桂米團治/桂三金/桂さろめ
10日 出演:桂あやめ/桂楽珍/林家染弥 <浪曲>春野恵子

<映画>9・10日 桂あやめ監督『あなたのためならどこまでも』
開場6:00PM/開演6:30PM

料金:前売2500円/当日3000円
チケット・問:TORII HALL


1月2日(土)
「第三回トリイ初夢席」
出演:
<講談>旭堂南海/旭堂南青 <浪曲>春野恵子
<夫婦音曲漫才>おしどり <奇術>キタノ大地
<落語>林家市楼 <大衆ソウルシンガー>インディ
<太神楽>豊来家玉之助 <津軽三味線>山本朗生
<弾き語り>富田麗華  <腹話術>笑福亭笑子
料金:前売2500円/当日2800円/中学生以下1000円(要予約)
チケット・問:TORII HALL


1月15日(金)
「白鳥・恵子の会」
出演:三遊亭白鳥/春野恵子(曲師 一風亭初月)
開場6:30PM/開演7:00PM
料金:前売3000円/当日3500円
チケット・問:TORII HALL

>>春野恵子ブログ





 見る・読む

 使う・調べる

 寄る


大阪市中央区千日前1-7-11上方ビル4F
TEL:06-6211-2506
地下鉄「難波」駅または「日本橋」駅下車。なんばウォークB20出口より徒歩2分。

>>プライバシーポリシー

Copyright 2002 (c)TORII HALL. All rights reserved.