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「法善寺と古事記の神縁」
文:大徳寺 昭輝 |
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天照大御神様。須佐之男命様の乱暴に天の岩屋戸を開き籠もってしまった。
世界は光を失い、さまざまな悪鬼、悪神が現れ、豊葦原の中国、高天原は闇の世となってしまったのです。神々は、天の安の河原に集まって、なんとか天照大御神様を天の岩屋戸からお出しするために知恵を出し合いました。知恵の神、思金神は、天宇売命をもって神舞いを舞い戴いて、神々と笑い合えば、その笑う声、歌う声によって必ず天の岩屋戸より、天照大御神様がふたたびこの世にお出ましいただける事であろうと、神遊びをすることとなったのです。その神遊びによって天照大御神様がこの世に光をもって天の岩屋戸よりお現れになり、ふたたび神の光が戻ったのであります。その時の神遊びこそが、全ての芸能の始まりとなったのです。このたび私がこの芸能の始まりを書き示された、日本一古い書物『古事記』の物語を一人芝居としてTORII HALLで演じることとなり、とても喜んでおります。
私が七年程前、TORII HALLの氏神様である難波八阪神社において、心の勉強会を開かせて頂くようになり、その勉強会でTORII HALLの社長である鳥居真光さんと出会うこととなったのも神縁ということでしょう。
古事記は、私のライフワークであります。ラジオ日本、ラジオ関西をはじめとしてハワイを含み全国十五か所で『大徳寺昭輝-天の夢-』ラジオドラマ、神武天皇を放送して二年の歳月を数えます。神武天皇といっても、神武天皇の物語りの中に古事記の話も入れて、私が七色の声でさまざまな神々を演じています。お陰様で多くの方々から支持を得て、古事記の素晴らしさを伝えることが出来る幸せを感じています。そんな時にTORII HALLの鳥居真光さんが、とても古事記の素晴らしさを感じていただき、この度、古事記の一人芝居となったのです。
上方は、舞いにしても歌舞伎にしてもさまざまな芸能を今日の世に送り出して来ました。そんな上方でこのようなチャンスは嬉しいものであります。私は幼い時より舞踊や物語が好きで、上方舞い、文楽は心躍るものでありました。その芸がだんだんと消えかかっているのは、残念でなりません。再びその芸の都である上方にTORII HALLのような可能性のある劇場が、弁財天の神様を迎えて生まれ変わったことは、とても意義のあることであると思います。まさに弁財天の神様は、天宇売命のように神遊びによって世の中を幸せに導き、落語や講談などの笑いの力でイライラした現代人の心を開き、真実の輝きを放つことが出来るのであります。まさに、古事記に示された天の岩屋戸の神話のように、人の心にはそれぞれ天照大御神様の如く光り輝く可能性が生命として秘められています。その秘められた力をTORII HALLでの笑い、歌、輝きの舞台に触れることによって、多くの皆様に幸せが訪れればと思っています。
私も今年の八月十一日、十二日の二日間、古事記の朗読一人芝居で、その神遊びを神と共に楽しみたいと思います。十二月六日には、旭堂南青さんと泉鏡花、天守物語「富姫と図書之助の段」で私が富姫を演じます。日本の美しい文学、美しい言の葉がこの混沌とした世界に光りをもたらすことを信じています。 |
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TEL:06-6211-2506
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