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「蝶の未来予想図」
文:小佐田定雄(落語作家) |

▲小佐田氏(写真左)春菜氏(右)南地相合橋筋商店会「福家」前にて
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桂春菜さん。われわれ五十代のオジサンたちにとっては、阪神ファンの痩身落語家・桂春蝶さんの息子...というイメージが強かったのですが、最近は「春菜」ブランドによる独自の活躍が目立ってきました。
三年前に東京の林家いっ平、林家木久蔵、三遊亭王楽と上方の月亭八光という若旦那たちとともに若手二世落語家によるユニット「ぼっちゃん5(ファイブ)」を結成。春菜さんは「僕だけは『ハングリーなぼっちゃん』なんですよ」と笑います。その理由は「他の四人は草履袋でもブランド品を使ってますけど、ぼくだけコンビニのレジ袋を使うてます」。
でも、彼の「ハングリー精神」は決してそんな面だけのことではないのです。
大阪の山本能楽堂で月に二度、彼が中心となって「上方伝統芸能ナイト」という催しが行われています。落語はもちろん、能狂言、文楽、舞踊、浪曲などの枠を超えた人たちが、古典芸能を初心者にもわかりやすく、ダイジェストにして見せる公演を行っています。
そして、天満天神繁昌亭でも、四月から「ぼっちゃん5」のぼっちゃんたちを一人ずつ呼び出して、ガチンコ勝負をしようと企てています。
つまり、春菜さんは芸に対してとてもハングリーなぼっちゃんでもあるわけです。
その「空腹王子」が、ここトリイホールでも、五月から自らの芸を研鑽するための会「春菜未来予想図」をスタートさせることになりました。当人が新しいネタを含めて二席演じて、いつもの落語会とはちょっと違ったユニークなゲストをお招きするという、刺激的な会になりそうです。落語は言葉の格闘技です。トリイホールの特設リング(?)に、ぜひとも応援にお越しください。
「春菜」という名前は、春ののどかな菜の花畑を思わせます。その菜の花畑から、一羽の華やかな蝶が舞い上がろうとしています。春菜さんの未来予想図は、そのまま上方落語の未来予想図になるような気がするのです。
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この度、インフォメーションの文章を書いていただきました、小佐田定雄さんとは・・・
落語作家。昭和52年に桂枝雀に新作落語「幽霊の辻」を書いたのを手始めに、新作や滅んでいた落語の復活などを手がける。これまでに書いた新作は、『貧乏神』『茶漬えんま』『神だのみ』『狐芝居』『マキシム・ド・ゼンザイ』など200席近い。 |
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★おまけ
今回の表紙は、トリイホールのご近所さんの大阪プロレスデルフィンアリーナで撮影をさせていただきました。
そんな訳で、春菜さん、リングを高座に一席。
※5月19日の春菜の未来予想図は、トリイホールで行いますのでお間違いなきよう。
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